さよならは言えない

「さよならは言えない」 
 まいにち眠る前に俺は役に立てたかと問うあなたが、そう思っていることは知っている。
 はじめから「さよなら」という言葉を与えられていないあなたの唇が告げる「おやすみ」はいつも明日への祈りのようでいて、時折お別れの言葉のように響く。永遠なんてない。そう自分を戒め、今日できる限りのことをしようと決めているあなた。
「さようならなんて言わない」
 だからわたしは何度でもそう言おう。朝が来る度に、あなたに会いに行こう。
 永遠はなくても、わたしと一緒に、最後まで足掻いてよ。
 「おはよう」はわたしからあなたへの一日分の約束。
 ほら、あなたの鮮やかな一日が今日も始まる。