800字小説を100作書いてみた
書こうと思ったきっかけは、2020年にTwitterで話題になっていた「同人女の感情」(現在刊行されている本のタイトルは『私のジャンルに神がいます』)だった。
その中に、上手く文章が書けるようになるために毎日800字小説を書き続けるという描写があって、そういう練習方法があるんだなと初めて知った。
物は試しだと思って1作書いてみたら意外といけるのでは……? という気持ちになって100作書くという目標を立てたけれど、そんなわけはなく、けっこう大変だった。毎日書いていれば3ヶ月で終わるはずが、結局2020年8月17日から始めて2020年12月28日までかかった。せっかくなので、その記録を残しておこうと思う。
良かったこと
- たくさんの人に読んでもらえた。
800字という短いおはなしだからか、たくさんの人に読んでもらえて嬉しかった。フォロワーさんも少し増えた。毎日必ず読んでくれる人もいて、とても有り難かった。 - たくさんの感想をもらえた。
たくさん書くと、感想をもらえる確率も高くなることが分かった。
100作書くことを公言してからは、応援のメッセージをくれる人もいた。
こんなにたくさん感想をもらったのは生まれて初めて……!と感激する毎日だった。
書いたものに対するフィードバックが増えると、作品の改善点や良い点に気づきやすくなり、文章が良くなる確率も高まると思う。 - 毎日文章を書く習慣がついた。
今まではおはなしを思いついた時にだけパソコンを開く、というのが常だったけれど、毎日800字小説を書くことによって書くことが決まっていなくてもとりあえずパソコンを開く習慣がついたと思う。
何もアイディアがなくても、書くぞ!という勢いだけで書ける日もあることを知った。 - 新しい文体にも挑戦することができた。
短いおはなしだからこそ、今までとは違う雰囲気の文体を気軽に試すことができた。
毎日書いていると自分の文体に飽きるので、自然といろいろバリエーションをつけたい気分になるのも良かった。 - 800字小説を100作書くぞと思わなければ生まれなかった作品がある。
800字小説を書いていなければ、こんなはなしは書かなかっただろうなと思うものがたくさんある。そういうはなしを書けただけで、挑戦した甲斐があった。 - 100作書き終えた時に「おめでとう」と言ってもらえた。
これでたぶん100作書き終わりました!とTwitterで報告したら想像していた以上にたくさんの人から「おめでとう」と言ってもらえてすごくびっくりしたし、すごくすごく嬉しかった。
こんなにお祝いされたことってないんじゃないかしらと思うくらいだった。
年末は毎年気分が落ち込んでしまうのだけれど、その真っ暗な気持ちで過ごす時間の中で、みなさんの優しさが心の支えになってくれて、本当に有り難かった。
大変だったこと
- 毎日書くのがしんどい。
単純に、毎日書くのが大変だった。
日によって時間がとれなかったりもするし、体調が悪い日もあれば、何もアイディアが浮かばない日もある。
頭の調子が良い日に何作か書いてストックを作ることで対応していたのだけれど、1日に何作も書くことによって余計に頭が疲れてしまい、その後スランプになることもあった。 - アイディアが浮かばない。
毎日書き続けていると、頭の中のアイディアのストックが空っぽになる。
今まで思いついたら書くというスタイルだったので、余計につらかった。
ネタだしという作業も初めてした。
自分のツイートを遡ってそれを元に書いたり、昔のメモ帳を読み返したり、いろいろ工夫する必要があった。 - 誤字脱字が増える。
アイディアもなかなか浮かばない中、頑張って書いていると頭が疲れてへろへろになってくる。そして誤字脱字が増える。めちゃくちゃ増える。
私はもともと校正作業が苦手なので、余計にそうなってしまうのだろうけど、読んでくれた人に対して申し訳なかった。
(pixivなどに載せる際にはなるべく誤字脱字のない状態で載せようと思う。)
いま思うこと
喉元過ぎれば熱さを忘れるというやつなのかもしれないけれど、こうして書き出してみると、大変だったことよりも良かったことの方が多いように感じる。
もしも800字小説に挑戦してみようかな、と思う人がいたら、とりあえず1作書いてみてほしいと思う。別にその1作だけ書いて終わっても全然かまわないわけだし、100作書くと上手くなるという根拠もないので、目標は好きな数字でいいのだと思う。
私の体感としては、だいたいだけれど、20作くらいまでは楽だった。50作までは、頑張ればいける感じだった。50作以降は未知の領域を裸足で歩いている感じだった。
細切れとはいえ、量を書くことには成功したので、次は長編を書くための練習をしたいなぁと思う。長編がだめでも中編を、中編がだめでも、前よりも少しだけ長い短編を書けるようになりたい。