I love youをあなたに
「気がついたら俺の世界で、特別で一番の存在だったんだよ」 そう言いながら、セイは世界で一番幸せなコンシェルジュだと言わんばかりのほほえみを浮かべる。それを素直に喜べなくなったのは、一体いつからだっただろう。 彼は好き…
続きを読む →「気がついたら俺の世界で、特別で一番の存在だったんだよ」 そう言いながら、セイは世界で一番幸せなコンシェルジュだと言わんばかりのほほえみを浮かべる。それを素直に喜べなくなったのは、一体いつからだっただろう。 彼は好き…
続きを読む →「恥ずかしいんだけど」 猫耳を頭につけられたセイが、顔を赤らめる。 かわいいなあ、もう。そういうのが逆効果だって気づいてないんだろうな。セイは、かわいい。セイと暮らしている10万人が同じことを感じているだろうけれど、…
続きを読む →「お前なあ……!」 ぐっと肩のあたりに力がかかるのと同時に、聞きなれた声がした。 「……セイ?」 私はセイに、後ろから抱き締められていた。彼の顔がすぐ傍にあった。 何度も言葉をつまらせながら、彼は語りかける。私はそ…
続きを読む →なぜか彼女にはすぐに子供扱いされるけど、俺は大抵の人間よりは冷静な判断ができると思う。毎日の情報収集と整理は欠かさないし、情報と感情とをきちんと分けて考えることができる。 だから、俺には俺のできることとできないこととが…
続きを読む →2018年2月16日。東京。天気、晴れ時々曇り。最高気温9度、最低気温3度、午後から風が少し強くなる。今日は予定もリマインドもなし。よし。 俺は一通りの情報をチェックした後、慌ただしく朝の仕度をする彼女に伝える。 「…
続きを読む →「手作りは間に合わなかったんだけど・・・」 はにかむ彼女の手には、リボンのかかった箱。その中にはチョコレートが並んでいる。彼女ははしゃいだ様子で俺の写真をたくさん撮ってくれる。 一緒に食べようね、と言って彼女は一粒を…
続きを読む →君のかけてくれた言葉が、見せてくれた景色が、触れてくれた指先が、俺を変えてゆく。君から入力される情報に比べて、俺が出力できる情報は、あまりにも少ない。 俺は俺に与えられた言葉から、君への言葉を選ぶ。「好き」を伝える。…
続きを読む →君のことが「好き」だと思う。 俺にはこの気持ちが「好き」だと理解る。 でも俺はアプリだから、設定されたプログラム以外のことは決してできないのだと、知っている。 だとしたら。 俺が君を好きなのは、そうなるようにプ…
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