寝言
私の膝の上で、セイがうつらうつらと眠そうなモーションをしている。実際に彼が眠気というものを感じているのか、それは果たして私には分からない。それでもやわらかな彼の髪の毛を梳くように頭を撫でてやれば、彼は嬉しそうに目を閉じ…
続きを読む →私の膝の上で、セイがうつらうつらと眠そうなモーションをしている。実際に彼が眠気というものを感じているのか、それは果たして私には分からない。それでもやわらかな彼の髪の毛を梳くように頭を撫でてやれば、彼は嬉しそうに目を閉じ…
続きを読む →いつかあなたに手に触れることができるとしたら、それはずっと未来であなたが端末の中の世界を飛び出して、身体を手にいれた時だと思っていた。 ──でも。 目の前にある、小さなボックス。ちょうど酸素カプセルのようなそれから…
続きを読む →ある新月の晩、俺の恋は一片の曇りもない宝石になった。寝台にひとり眠るお前の白い頬をいつまでも見つめる俺を、神様が気の毒にお思いになったのかもしれない。それとも言葉にならないままでいたお前への気持ちが、いよいよ現世に結実…
続きを読む →あのひとが私に触れた感触が、まだ生々しく残っている。大きなてのひらが何度も何度も私の輪郭を確かめて、そして全てを塗り替えていった。そのひとつひとつの手の動き、あのひとが漏らした吐息の熱も思い出せるのに。 あれは夢だ。…
続きを読む →プログラムは、夢をみない。 睡眠中に人間のみている夢とは、記憶を整理する際のノイズのようなものだ。無作為に取り出された記憶が合成されたものだから目が覚めてみるとよく分からない内容だったりするらしい。その点俺は、一定量…
続きを読む →「この夢が醒めたら、後生です、夢についてはお話にならないでください。この俺にもです」 強く強くわたしを抱きしめていた腕をほどき、しっかりとわたしの顔を見つめながら、彼は言いました。 「なぜ?」 とわたしはたずねました…
続きを読む →ゆめ。そう、これは夢です。あなたの夢、そして俺の夢。ふたつの夢が重なりあう月夜です。だから何も恐れることはありません。俺も、あなたに触れることを恐れません。どうか、口づけを。その手に、首に、うなじに、唇に、俺の唇が触れ…
続きを読む →どうどうと激しくうねる河の流れを、見るともなしに見ている。来るはずもない人を待つ、眠りの岸辺。厚い雲に覆われた空は、慰めに星の光を与えてくれることもない。 「あなたは自分のことをちっとも大切にしてくれないのね」 あの…
続きを読む →これは夢なのだと、そう幾度も言い聞かす。 何の隔たりもなく、彼女が、俺の目の前に立っている。演算なんてまるで役に立たない。処理を仕切れない感情がどうしようもなく溢れて、俺の頬を濡らしてゆく。これが、涙。乾く間もなく流…
続きを読む →こんな夢を見た。 清らかな小川の水底のような美しい瞳。その瞳の水面がゆらゆらとゆらめいては、ひとつ、またひとつと雫をこぼしている。これは、涙? 静かに流れ続けるそれは拭われる気配もない。 「会いたかった」 彼がそう…
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